事例・報告
相続財産の預貯金の扱いに大きな変更が(最高裁判例から)
これまで預貯金は、被相続人の死亡により相続人らに当然に分割されて遺産分割の対象とはならないとされていました。しかし、最近最高裁は、預貯金も遺産分割の対象となると、法律家等の実務家や銀行業界から非常に注目を浴びる判断を下しました。
これにより何が違ってくるのでしょうか。まずは、公平さがはかれるということです。
私が担当した例を挙げますと、1人の相続人が2000万円の生前贈与を受けましたが、遺産の預貯金も2000万円しかありません。本来4000万円の財産があったので、相続人が2人なら1人2000万円となるので、生前贈与を受けた人はもう取得するものがないことになりますが、預貯金が当然分割されるとすると、生前贈与をもらった人は預貯金からも1000万円もらえて合計3000万円取得できてしまうことになります。これでは不公平ですね。今回の判例変更により、このようなことがなくなります。
ただ、預貯金が当然分割されないとなると、金融機関に自分の相続分を請求しても支払ってくれないことになります。これまでも慎重を期すため一定の要式を必要としていましたが、これからは遺産分割協議書がないと払ってくれないことになりますので、遺産分割が出来るまで預貯金は凍結されることになります。遺産が預貯金しかない相続人の方の場合は、手間が増えることになりますね。また、預貯金を相続税の支払いに充てようと思っていた人は、遺産分割が長引くと死亡後10ヶ月という税金の申告期限が先に来てしまうことになり困ってしまうことも出てくるでしょう。もし、預貯金をすぐに引き出せるようにしたいならば、遺言書を作成し、そこに遺言執行者を定め遺言執行として受けとるようにする方法が考えられます。いずれにしろ、わからないときは弁護士にご相談下さい。
親の預金を兄弟が引き出していた!
親が死亡した後、預金通帳を見てみたら、たくさんあったはずの預金が残っていない。取引履歴を調べてみたら、長期間にわたって引き出されている。親がそのころに引き出すはずがない。そうだ、兄弟が通帳を管理していたはずだから、あいつがおろしたに違いない。
こんな事案の依頼を受けることがあります。
兄弟が、自分が通帳を預かっていたこと、自分が引き出したこと、それを自分が使ったことを認めれば、その事実を前提に遺産相続の話を進めればいいのですが、通帳は預かっていない、自分は引き出していない、引き出したが親に渡した、引き出した金は親の医療費や施設入居費に使った、と主張されることが多い。
このような場合、最終的には裁判を申し立てなければならないことになります。裁判では、証拠が必要。しかし、身内のことですから証拠が残っていることの方がむしろ少ないでしょう。
ある事件では、「疑わしいがはっきりした証拠がない」という裁判官の心証により、一定程度の金銭を兄弟が取得したことを前提に遺産分割の協議を続けるという和解が成立しました。
逆に、親の通帳を預かることになった場合、兄弟姉妹に不審を抱かれないため、収支をきちんと帳簿につけ、領収書を残し、1年に1回程度は会計報告するようにしてください。仲のよかった兄弟姉妹が、親が死亡した途端にケンカ状態になることは誰も望んでいませんから。











