遺留分制度が変わりました。

事例・報告

遺留分制度が変わりました。

2021/08/03 事例・報告

平成30年相続法改正で遺留分制度が変わりました。

 

人は、本来自由に自分の財産を処分することができますので、生前の贈与や遺言状の作成によって、法で定められた相続人と異なる人に自分の財産を相続させることも、特定の相続人に全財産を相続させることもできるはずです。

しかし、民法は、一定の範囲の相続人(配偶者、子、直系尊属)に遺留分を認めて、被相続人による 自由な財産の処分(贈与・遺贈)に一定の制限をしています。

相続制度が、遺族の生活保障や、潜在的持分の精算という機能を有していることを考慮し、また、近親者の相続期待権を保護しているのです(遺留分を主張しないこともまた自由です)。

改正前、遺留分権利者は、遺贈を受けた人や贈与を受けた人に対し、「遺留分減殺請求権」を行使することができましたが、現物返還の原則が基本とされ、また、遺留分権利者の方で減殺の対象となる財産を選ぶことができず、遺産全体について価格の割合に応じて減殺すべきとしていたため、遺留分義務者が価格弁償を選択しない限り、不動産が共有となり、さらに共有物分割の手続きが必要となって、紛争の解決が長期化しがちでした。

改正によって、遺留分権利者は、「遺留分侵害額請求権」をもつことになり、侵害額の支払を請求する方式に変わりました。以前より、格段に請求が容易になったのです。令和元年7月1日以降にお亡くなりになられた方から適用があります。

遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから、1年で時効により消滅します。相続開始の時から10年の経過によっても消滅します。

ご相談の際には、遺留分侵害額請求権を行使できる期間にご注意頂き、お早めにご相談ください。

 

 

ページの先頭へ戻る