自筆証書遺言の作成上の注意

事例・報告

自筆証書遺言の作成上の注意

2026/06/12 事例・報告

1 自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、遺言書の一種で、自分自身が手書きで作成する遺言書のことです(民法968条)。

遺言書には、通常の方式として、自筆証書遺言書と公正証書遺言書がありますが、ここでは自筆証書遺言について説明します。

2 遺言書を作成することのおすすめ

遺言書とは、亡くなった方が生前に「財産を誰に、どれだけのこすのか」についての意思表示を文書に残したものです。遺言書は原則として法定相続分より優先されるため、基本的には遺言書の内容にしたがって財産を分けることになります。このため、スムーズに遺産相続が進み、相続人同士での争いも生じにくくなります。

特に、法定相続人がいない場合、最終的には国が没収しますので、これを防ぐためには遺言書を作成しておかなければなりません。

また、法定相続人以外の人に財産を贈与したり(長年連れ添った内縁の配偶者も法定相続人ではありません)、団体に財産を寄付することも遺言書がなければできません。

 

3 自筆証書遺言作成の注意点

自筆証書遺言は、手軽に作成できる、内容を秘密にできる、作成費用がほぼかからないというメリットがありますが、法的要件を満たさないと無効になる(全文自筆、日付、署名捺印という3要件を覚えておいてください)、パソコンで作成したもの、録音、録画したものは効力がありません。加除訂正した場合、その箇所ごとに日付、署名捺印が必要となります(民法968条3項)。「被相続人は常々●●と言っていた」としても遺言の効力はありません。代筆してもらったものも効力がありません。

また、自筆証書遺言書の内容にしたがった不動産登記や預金の相続手続きをするためには家庭裁判所による検認が必要(民法1004条1項)という点も注意が必要です(なお、検認は内容の有効性を確認する手続ではありません)。

他にも、内容が不明確だと争いの原因にもなる、紛失や隠匿、偽造の恐れがある、相続人から「書かされた遺言」「認知症で遺言能力がなかった」と言われやすい等のデメリットもあります。

普通の解説にはあまり書いていないのですが、「遺言執行者」が書いていないと、執行者の選任を家庭裁判所に申し立てなければならないので、要注意です。

 

4 近年の法改正

これらのデメリットを解決するため、財産目録をパソコンで打ったり、コピーした財産目録を使用することが認められるようになりました(平成31年1月施行)。

また、法務局から自筆証書遺言書を保管してくれる制度ができました。(令和2年7月施行「自筆証書遺言保管制度」といいます)。この制度を利用した場合、家庭裁判所での検認手続も不要になります(法務局における遺言書の保管等に関する法律11条)。但し、この制度を利用するには、いくつも要件がありますので、注意してください。最寄りの法務局に問い合わせるのがよいでしょう。

 

5 今後の改正

政府は、本人がパソコンやスマホで遺言を作成できる制度を検討中です。このような制度ができると、遺言書の作成がもっと楽になりますね。

 

6 弁護士に相談を

その他、遺言書の作成は、法的に間違いない手続で進めなければなりません。死亡されてからでは遅いです。命あるうちに弁護士などの専門家にご相談ください。

 

 


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