遺言の無効

事例・報告

遺言の無効

2017/08/10 事例・報告

法律が定めた相続分では、必ずしも、家族の実情にあわなかったり、遺言者の気持ちに沿わないことはよくあります。

遺言は、自分が生涯かけて築き、かつ守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために作成するものです。 

しかし、元気な時に、よくよく考えて作った遺言を、病気になって判断能力が衰えてから、そのときに周りにいた人の意向に沿った遺言に作りかえてしまうことがあります。

遺言状を作成したときに、遺言者に遺言能力がなければ、遺言は、無効となります。

遺言能力は、「当該遺言の内容や効果を弁識する能力」とされていて、遺言能力があるかどうかは、遺言の内容や、遺言状を作成したときの遺言者の心身の状況から判断されます。

当事務所が得た判決ですが、子のいない遺言者が、元気なときに、生涯でそれまで世話になった人たち(Aを含む)に感謝する思いで、バランスを考えて、配分する公正証書遺言を作成していたところ、病気になって、痛みと薬の影響で幻覚症状が認められたり、せん妄が現れ、認知症と診断され、精神的にも不安定になった後、Aが、遺言者に対し、それまで世話をしていた人たちとの接触を断たせて、Aが付き添う形で、専らAの利益となる公正証書遺言をつくらせた事例で、後の遺言時には、遺言能力を欠いていたとして、遺言を無効としました。

遺言は、相続を巡り、親族間で争いが起こることを防ぐために作られるのが一般的ですが、判断能力が衰えてから作成した不合理な遺言があるばかりに、争いが起こることも少なくありません。やはり、遺言は、元気なときに、よく考えて作る必要があるでしょう。

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